フライト・ゲームのあらすじ

北アイルランド生まれでアメリカ国籍の航空保安官ビルは、娘を亡くし妻とも離婚して酒に溺れていた。

空港の駐車場で酒を入れたコーヒーを飲んだビルは、マウスウォッシュで酒の匂いを消して一般客を装い、任務のためニューヨーク発ロンドン行きの飛行機に搭乗した。

空港入口で並んで待っている時、隣の青年がどこへ行くのかと気さくに話しかけてきたが、ビルは無視した。一方で、くまのぬいぐるみを忘れた少女ベッカを追ったビルは、ぬいぐるみを渡してあげるという優しい一面もあった。

飛行機内には窓際の席を希望する女性がいて、ビルの隣の座席の男と交渉し、席を代わってもらっていた。

機内に離陸のアナウンスが機長から入りると、離陸の瞬間が苦手なビルは、ポケットからリボンを取り出し手に巻いた。

男を席を変わり、ビルの隣の席に座った女性ジェン・サマーズが話しかけてきたので「上空へ飛んでしまえば平気だが、離陸の瞬間が不安になる」「17歳になる娘のオリヴィアのリボンだ」とビルは答えた。

ジェンは「私の仕事は飛行機に乗る仕事」と冗談を言うが、その開いた胸の中央に傷痕があることにビルは気付く。

離陸後、飛行機は何事もなく大西洋上空を飛んでいた。ビルはトイレでこっそり煙草を吸っていたが、ビルの連邦政府専用の回線の携帯に不審な人物からメールが入る。

メールを送った人物は、ビルがトイレで隠れて煙草を吸ったことを知っていて、乗客のひとりだと名乗り、1億5千万ドルを指定の口座に入金するよう要求し、確認できなければ20分置きに乗客をひとりずつ殺すと予告した。

ビルは、飛行機に乗り込んでいるもう1人の航空保安官ジャック・ハモンドに相談するが、ハモンドは「騒ぎを起こすな」と言い、相手にしなかった。

ビルは機長にTSA(運輸保安局)に問い合わせるよう頼むが乗客名簿の確認には、最低でも30分を必要だった。

ビルは隣に席に座っていて親しくなったジェンを信用し、航空保安官の身分を明かし、顔見知りのCA、ナンシーと一緒に、乗客を映した監視カメラを見てもらい、こちらからメールを送ってみて、そのときに携帯を操作する乗客を探してもらう。

ビルは犯人に「上層部の者が捕まらないので、入金には時間がかかる」などとメールに打ち込み送信をしてみた

すると乗客のうち、デヴィッド・ノートン、オースティン・ライリー、ジェイソン・コール、チャールズ・ウィーラー、ファヒム・ナジール、アイリス・マリアンが携帯を操作していたことがわかった。

その後運輸保安局ワシントン支局の上官・マレニックから、指定された口座については確認中だとビルに電話が入ったが、その電話中に犯人からビルに、「娘は元気か」とプライバシーに関するメールが入る。

機内でビルのプライベートのことを知っている人物は保安官のハモンドくらいだと思い、ビルは電話を切ると、ハモンドを問い詰める。

トイレの中でハモンドは明らかに挙動不審な感じで、分け前をやると言い出し、さらに銃を向けたので、ビルは咄嗟に反撃しハモンドを殺してしまった。

トイレを使用中にしてごまかしたビルだったが、次の殺害まで20分だと犯人に告げられる。つまり犯人はハモンドではなく、ビルに殺人をさせる罠だった。

機長から報告を受けた運輸保安局のマレニックから連絡が入り、指定された口座の名義がビル自身のものだと言われる。

機長と上官のマレニックはビルを疑い、テロリストの可能性もあるとし、ビルは機長に銃とバッジを取り上げられた。

席に戻ったビルは、隣の席のジェンにトイレで水没したハモンドの携帯を起動してもらう。するとハモンドの携帯にも、犯人からの脅迫のメールが入っていた。

ハモンドのカバンの中にはコカインが入っていて、ビルはハモンドが密輸に関わっていたことを知った。

ビルは乗客に自分の身分を明かすと、機内を明るくして乗客の手荷物検査を始める。

ビルが勝手な行動をするため、機長はハイジャックではないかと疑い、運輸保安局に報告し、ビルはマレニックから解任を告げられる。

ビルには乗客の誰もが怪しく見え、逆に乗客たちに悪印象を与えてしまう。

そのときビルは、搭乗前に自分へ話しかけてきた男が、同じ便に乗っていることに気付く。その男、トム・ボーウェンにオランダ・アムステルダムに行くと言っていたのに、なぜこの便に乗っているのかと、尋問した。

トムは「行き先を聞けば100ドルやると言われたから、話しかけた」と答えたが、トムにその相手を探せと言い、機内を連れ回しトムを最後尾に拘束した。

この様子を同じ飛行機に乗っていた若者が動画で撮影し、動画サイトにアップロードしてしまう。

そのとき、20分が経過し、飛行機が急降下を始めた。犯人から「乗客とは限らない」というメールを受けたビルがコックピットに駆け付けると、機長が発作を起こしていた。

そこで手荷物検査をしている時に医者と名乗った男性ファヒム・ナジールに、機長を診てもらったが手遅れで間に合わなかった。

副機長に話を聞くが、原因は特定できず、ビルは、取り上げらていた拳銃を取り戻し、上官のマレニックに電話で機長の死を告げた。

送金して乗客の安全を図るようマレニックに頼むが、問題の口座がビルの名義なので、マレニックはビルを疑います。

席に戻ったビルは、ジェンが席を変わってもらった男性ザック・ホワイトが、プログラマーだと知り、携帯のサイレントモードの解除を依頼する。

ビルは、ビジネスクラスを閉鎖し、騒然とする乗客に「1年間、国際線の利用代金を無料にする」と言って従わせる。乗客に手を挙げさせ、サイレントモードの解除をするためのウイルス入りの画像を送信した。

そして着信音が鳴ったのは、容疑者候補のひとりで破産処理専門の弁護士だという男性チャールズ・ウィーラーだった。チャールズは「私の携帯ではない」と否定したが、その直後、苦しみだし泡を吹いて死亡した。

乗客たちは横暴なビルを怪しく思い、ビルに疑われているものたちが団結してビルに立ち向かう。

うんざりしたビルはトイレで煙草を吸い、酒を飲もうとするが、そのとき煙草の煙が吸い込まれる穴に気付いた。そこを調べると機長の席の真後ろで、さらに吹き矢の矢が残っていた。

トイレを最後に使ったのはジェンだったことがわかり、ビルはジェンを疑い、窓際の座席に座ろうとした理由を問いただした。

疑われたジェンは、腹をたてながらも、弓部大動脈瘤でいつ死ぬかもわからないから、死ぬときくらいは窓の外を眺めていたいと答えた。

それを聞き、ビルは胸の傷のこともあり、ジェンへの疑いを解き、弁護士の携帯を調べ始める。

すると犯人はビルを装い、ホワイトハウス、運輸保安局、FBI宛に「手詰まりだ。自爆する」とメールを送信した。

テレビニュースで飛行機のハイジャックの報道が流れ、犯人は航空保安官のビルとしていたので機内に動揺が走った。

テレビのニュースではビルが8歳の娘・オリヴィアをガンで亡くしたことや、妻とも2003年に離婚しており、警察官を辞め航空保安官になったものの、アルコール依存症であるなど、ビルにとって不利な報道が流れていた。

ところがビルはその報道をヒントに、死んだハモンドのカバンの中のコカインの下から爆弾を見つけた。

ビルはテレビの報道などで乗客からの信用を失っていて、乗客の中にいたニューヨーク市警察のオースティンたちから、銃を向けられ「事態を説明しろ」と言われる。

ビルは離陸後から脅されていたことを明かし、娘が急性白血病になったとき仕事や酒に逃げたことを告白し、今回は逃げずに、乗客を救いたいと話した。

乗客たちはビルを信じ、爆弾の被害を最小限にするため、飛行機の後部に爆弾を置き、協力してその上にあるだけの荷物を重ねていった。

副操縦士に爆発に備えて、爆弾のダメージが少ない8000フィートまで降下するよう頼むが、飛行機はすでに英国空軍が包囲しており、高度を下げると撃墜される恐れがあった。

ビルはそれでも副機長のカイルに、5分後に高度を下げるよう言った。

乗客は一体となり爆発に備え、怯える少女ベッカに、ジェンは窓際の席を譲り、ビルは魔法のリボンを握らせた。

ビルはニュースで、機内の映像が使われていることに気付き、撮影した青年を見つけその動画を見た。

その動画には、ビルに行き先を聞けと依頼されたと言った男トムが、死んだ弁護士・チャールズの座席の前を通っている時に、携帯をチャールズのポケットに忍び込ませたところが映っていた。

さらにビルに協力していたプログラマーのザックも共犯だと判明する。あくまで金が目的のザックはパラシュートで逃げる準備を始めるが、トムは飛行機と共に死ぬつもりだった。そして二人は仲間割れし、トムがザックを撃った。

二人のやり取りを観ていたビルは、急降下のタイミングを図って、拳銃を手に入れ、トムを射殺する。そして生きていたザックをビルは殴り倒すが、その瞬間爆発が起こった。

それでも副機長のカイルが、なんとか飛行機をアイスランドに緊急着陸させ、乗客の命は救われた。

その後、乗客らの証言により、ビルの容疑は晴れ上官のマレニックからも、誤解を詫びる電話がかかってきた。

少女ベッカはビルに、リボンを返し、ジェンはビルに「ここはどこ?」と聞き二人は微笑みあったのだった。

「96時間」シリーズのリーアム・ニーソン主演の映画

「フライト・ゲーム」(原題:Non-Stop)は、2014年公開のアメリカのサスペンスアクション映画です。

監督はスペイン出身の映画監督、ジャウム・コレット=セラ、脚本はジョン・W・リチャードソン、クリス・ローチ、ライアン・イングルです。

主演のビル・マークス役は、ジャウム・コレット=セラ監督の「アンノウン」でも主演を務めた北アイルランド出身の俳優リーアム・ニーソンです。

リーアム・ニーソンは、1993年公開の「シンドラーのリスト」でオスカー・シンドラーを演じ、アカデミー主演男優賞にノミネートされ、ヴェネツィア国際映画祭男優賞を受賞した「マイケル・コリンズ」や、人気シリーズ「96時間」など数多くの映画に出演しています。

ビルの席の隣に座った女性ジェン・サマーズ役は、アカデミー賞に主演2回、助演2回の計4回ノミネートされているアメリカの女優、ジュリアン・ムーアです。

ジュリアン・ムーアは2014年公開の映画「アリスのままで」でゴールデングローブ賞ドラマ部門主演女優賞、アカデミー賞の主演女優賞を受賞しています。

他、空港でビルに話しかける乗客トム・ボーウェン役でアメリカの俳優スクート・マクネイリー、プログラマーのザック役でアメリカの俳優ネイト・パーカー、ビルと顔見知りのCAナンシー役でイギリスの女優ミシェル・ドッカリー、TSA(運輸保安局)の上官マレニック役でアメリカの俳優シェー・ウィガムなどが出演しています。

閉ざさた空間で20分置きに殺人が起こるサスペンス

航空パニックものが好きなので、そんな感じかなと思って観たのですが、航空パニックという要素は最後のわずかな場面のみで、ほぼ飛行機の中で起こる連続殺人事件を解決する、というストーリーでした。アクションの要素もそれほど、といった感じです。

乗客の中にいる犯人を探し出すだけでなく、ビル自らが疑われる、という点がサスペンスとして面白かったです。ビルの行動が、ちょっとおかしくない?もっとうまいやり方があるでしょ、と思わせるので、もしかしたら結局犯人なのかも、などいろいろ推理しながら観れました。

ジュリアン・ムーア演じるジェンの必要性が感じられず、またTSA(運輸保安局)の上官マレニックからまったく信じてもらいえないところや、最後に和解(?)したところなどは、訳し方のせいか、ちょっとわかりにくかったですが、その変はあまり気にしなくてもそれなりに楽しめました。

ラストのシーンで女の子が飛行機の外へ体が持っていかれそうになるシーンは航空パニックものっぽく、映画館の大スクリーンで観たら迫力があっただろうな、と思いました。あの風圧に耐えた女の子の凄さにちょっと笑えました。

あらためてここでストーリーなどを思いだしていたら、もう一度観たくなったのですが、初見で観ている途中は面白いんだけど、ハラハラドキドキ手に汗握る、とまではいかず途中飽きそうになり、観終わったあとも、面白かった、と思ったのですが、人に勧めるほど印象に残ったか、というと良くわからない、なんとも不思議な映画です。出演者がほぼ知らない役者さんだったので、犯人がわからないという点では良かったけど、その辺に物足りなさを感じたのかもしれません。とはいえ、犯人がわかったうえで、もう一度観てみようと思う映画でした。