小栗虫太郎作「黒死館殺人事件」とは
清涼院流水さんの『ジョーカー』を読んでいる途中ではありますが、作中で何度も出てくる四大ミステリ、『黒死館殺人事件』『ドグラ・マグラ』『虚無への供物』『匣の中の失楽』が気になり、いつか読もう、とリサーチしていたら、なんとアマゾンプライムで『黒死館殺人事件』と『ドグラ・マグラ』は無料で読めることがわかり(青空文庫)、さっそくダウンロード。
『ジョーカー』と並行して『黒死館殺人事件』を読みはじめてみましたが・・・やはり想像通りとても難しい。まだ少ししか読み進めていないけれど、ほとんど理解できないまま、とりあえず先へ先へと読んでいます。『ジョーカー』の中でも「あの本を読んだ時には、ただただ先へ進むことを考えていたが・・・。」と書かれていた。
『ジョーカー』の中では、”四大ミステリ”と紹介されていましたが、ウィキペディアでは”日本探偵小説史上の「三大奇書」、三大アンチミステリー”と紹介されていました。
内容はというと・・・
『黒死館殺人事件』のあらすじ
神奈川県にある降矢木家の大城館、かつて黒死病の死者を詰め込んだ城館に似ていると嘲られたのがその名の由来である通称「黒死館」。
黒死館の創設者、降矢木算哲の手配で、欧州から連れてこられた弦楽四重奏団のひとり、ダンネベルク夫人が毒殺された。
その死体からは不可解な発光現象が確認された。支倉検事は法水麟太郎に出馬を要請する。
黒死館では過去に三度も変死事件があり、その最後が黒死館の創設者、算哲の自殺だった。
法水は家人や使用人に尋問をしていくが、今度は、給仕長の川那部易介が殺される。
算哲が生きているとする算哲犯人説までも持ち上がったが、法水はヴィオラ奏者のクリヴォフが犯人だと推論する。しかしクリヴォフも殺され、続いてチェロ奏者のレヴェズまでも絞殺死体で見つかる。
レヴェズの喉には算哲の指紋が残っていたが、法水が発見した秘密の地下道の先には算哲の墓があり、そこには算哲の遺骸があった。
法水は算哲が愛妾の岩間富枝に産ませた息子で、黒死館当主の旗太郎を犯人として指摘する。
事件を解決したと思った法水は、算哲の秘書、伸子にプロポーズともとれる言葉をかけるが、翌日その伸子が拳銃で撃たれて死ぬ。
伸子の葬儀の日、法水はついに真犯人を指摘する。
衒学趣味(ペダントリー)とは
という話なのですが、いろいろなジャンルの専門的な知識が詰め込まれているらしく、知識がなければ何のことやらさっぱりわからない内容なのだそうです。これは、先が思いやられます。
ちなみに『黒死館殺人事件』のように専門的な知識を大量に盛り込んだ小説のことを、衒学(げんがく)趣味、(ペダントリー/ペダンチズム・知識をひけらかしたい人の意味)というそうです。
京極夏彦さんの京極堂シリーズなども、衒学趣味だという方もいらっしゃいました。現実の世界では、面倒くさい人と言われてしまうタイプのことでしょうか。
『黒死館殺人事件』は1934年、昭和9年の作品です。もうすぐ「令和」になろうってときに、昭和初期の作品を読もうとする私。あまりお金をかけずに読書を楽しみたいので、そもそも過去の作品を読むことが多く、時代に逆行しているのでは、と少し不安になりつつも、ミステリーって時代に関係なく読めるので助かります。
とはいえ、昭和9年ともなると、ほんと言葉が難しい。いつになったら読み終わるか・・・というか、そもそも最後まで読めるかどうかも怪しいですが。
ちなみに「黒死館古代時計室」というサイトに、”黒死館辞典”というのがあり、そこで『黒死館殺人事件』に登場する語彙が詳しく解説されています。時間の許す方は、こちらのサイトを参考に読んでみるのもいいですね。それにしてもこんなマニアックなサイトがあるとは、さすがは日本の三大奇書ですね。
私はというと、綾辻行人さんの「館シリーズ」も気になるし、あまり深く読み込む時間は取れないかな~。「館シリーズ」は、どれかの館(笑)を昔読んだ記憶はありますが、まったく覚えておらず、あらためて紹介されると気になって仕方ない。
そんな感じで、清涼院流水さんの『ジョーカー』を読んでいたら、次々といろいろな作品を読みたくなるので、積読本もどんどん溜まっていくので、『黒死館殺人事件』に集中するのは無理なのです。
そもそも清涼院流水さんの『ジョーカー』を読むきっかけとなったのが、森博嗣さんの第1回メフィスト賞受賞作『すべてがFになる』という作品なのですが、そのときに「メフィスト賞」って何だ?からリサーチがはじまり、その第2回受賞作の清涼院流水さんの著書が、「10年に1度の話題作」などと騒がれたと知り、気になったので読んでみることに。
一方、森博嗣さんの本も『すべてがFになる』は難しかったですが、徐々に面白くなり、集め始めてみたものの、まだ読んでいないものがたくさん手元にあったりします。
さらに「メフィスト賞」受賞作も全部読んでみたい、という願望もあり、そのうえ『ジョーカー』では、いろいろなミステリーが紹介されているし・・・。人一倍本を読むのが遅い私は、死ぬまでに何作読めるのだろうか。でも、ずっと楽しみがある、と思えば幸せなことで(笑)
とりあえず、清涼院流水さんの『ジョーカー』&『コズミック』を読み終えねば!