世界にひとつのプレイブックのあらすじ
元教師のパットは元妻の浮気が原因による傷害事件と躁鬱病で、精神病院に入院していたが、パットの母親が家に帰れるように尽力し退院となった。
失業してアメフトの試合のノミ屋を始めていた父親は、退院のことを知らず、病院から帰ってきたパットを心配する。その頃父親は稼いだ金で店を開業する予定だった。
自分はもう正常で、元妻ニッキとヨリを戻せると思っているパットは、教師の仕事に戻れるよう勉強を始めるが、深夜に読んでいた本の内容が気に食わず、寝ていた両親を起こし、大声で文句を言い出す。
退院の条件として主治医のパテル医師の所に向かったパットは、病院で流れていたBGMに激高する。その音楽は結婚式で使った音楽で、妻ニッキの浮気現場でもかかっていた曲だった。
パットは副作用があることで薬を飲むことを嫌がり、不安定な日々が続き、接近禁止令の出ていた職場や住んでいた家を訪ねたりしていたため、警察が家に忠告にやってきた。それでもニッキとの復縁を願うパットは、医師の忠告を聞かず、友人ロニーの家に招かれた食事会に向かう。
パットはその食事会で、ロニーの妻ヴェロニカの妹ティファニーを紹介される。ティファニーもまた夫のトミーを事故で失ったことで心を病んでいた。
パットとティファニーの二人は精神病の薬の話で盛り上がるが、姉夫婦の話にイライラしたティファニーが、パットに家に送るように言い、二人で家をあとにした。帰り道、ティファニーはパットを部屋に誘うが、パットは結婚しているから、と断る。
家に戻ったパットは、妻ニッキとの結婚式の映像が見たいと言い出し、ビデオが見つからず。大声で叫びだす。母親を殴ってしまったパットに父親が怒って、殴り始める。パットの声が近所中に響き渡り警察に通報され、警官が訪ねてきて騒ぎは収まった。
翌朝、パットがランニングをしているとティファニーがやってきた。パットは一人で走りたいと喧嘩となる。パテル医師とのセラピーで、ティファニーのことを話すと、ティファニーを救うことで自分も救われると言われる。
再びランニング中にティファニーが現れると、パットはティファニーを夕食に誘った。レストランで自分の話をし、ニッキに手紙を渡したいと言うパットに、ティファニーが私が渡すと言い、自分の話を始める。
ところが思った事を無神経に話すパットにティファニーが怒り、店を出て外で大声で喧嘩となり警察がやってきてしまう。そこでパットの苦しみを理解したティファニーは落ち着き、二人は冷静になる。
ティファニーはニッキへの手紙を渡す代わりに一緒にダンスコンテストに出てほしいと条件を出す。
家に戻るとアメフトの試合の日にパットと同じ精神病院に入院していた友人ダニーが退院し、家にやってきた。家にはロニーもいて、ニッキの話になるが、そのとき兄ジェイクが2階から降りてくる。パットは自分と比較して自慢話をする兄に冷静に対応する。
ニッキへの手紙を持ってティファニーのダンスレッスン部屋へ向かったパットは、ティファニーの死んだ夫の話を聞き、渋々ダンスを始める。
ある日寝ているパットのもとに父親がやってきて、試合に店の開業資金をすべて賭けたと聞かされる。過去の暴力事件でスタジアム出入り禁止の自分の変わりに、ゲン担ぎでその試合に兄のジェイクと見に行って欲しいとパットに言う。
パットはティファニーに試合の観戦に行きたいというが、試合よりもダンスの練習をしてもらいたいティファニーはニッキから返事がきた、といい関心引く。手紙にはパットが夫として立ち直ったという保証がないと安心して復縁は無理だと書かれていた。
アメフトの試合の日、パットは試合会場に向かう。そこで試合が始まる前に乱闘騒ぎに巻き込まれたパットは、後から行く予定だったティファニーの約束を守れなかった。
父親が応援するイーグルスは試合に負け、金が無くなった父親はパットを責め立てる。そこに怒ったティファニーが家にやってきた。自分といると縁起が悪くなると考えていた父親に、そんなことはなく、今日も約束を守っていれば乱闘騒ぎにならなかったと説明する。
父親の賭けの相手はティファニーも顔見知りで、ティファニーは再度試合の賭けをするように言う。パットの父は話しに乗り、倍の金額で、ハンデも10つけ、さらにダンスの大会に出場するパットとティファニーの得点も賭けの内容に入れることを提案する。
無謀な賭けにパットは止めるが、外に出てニッキからの手紙を読み返す。するとそこにはティファニーが直前に言ったことにそっくりなフレーズが書いてあった。そこで手紙はティファニーが書いたという事にパットは気づく。
ティファニーは、賭けに乗り気でないパットに、ニッキが来ると嘘をつけばパットは参加するはずだ、とパットの両親に言う。
ダンス大会当日、ニッキが来る、というのは嘘のはずだったがロニー夫妻がニッキを連れて来てしまう。思わぬことに動揺し、ティファニーはヤケになって酒を飲んでしまうが、パットが探しにきてダンスを踊る。
ダンス大会の結果は周りからは笑われるような点数だったが、賭けには勝つ点数で二人で抱き合う。そしてニッキのもとへと向かっていくパットにティファニーは顔を背け、会場から立ち去る。
しかしパットはニッキに元気になった姿を見せに行っただけで、ティファニーを追いかける。
逃げるティファニーに手紙を渡す。ティファニーはニッキ宛てだと思っていたが、それはティファニー宛てで、そこには「愛してる」と書かれていた。パットは手紙は一週間前に書いたと言って、二人はキスをする。
ブラッドリー・クーパー、ジェニファー・ローレンス主演のラブストーリー
「世界にひとつのプレイブック」(Silver Linings Playbook)は、2012年のトロント国際映画祭でプレミア上映され2012年に一般公開されたアメリカの映画です。
第85回アカデミー賞で作品賞を含む8部門にノミネートされ、ティファニー役のジェニファー・ローレンスが主演女優賞を受賞しています。
監督・脚本は、アカデミー賞常連のデヴィッド・O・ラッセルです。ラッセル監督は、2010年「ザ・ファイター」でアカデミー作品賞、監督賞など7部門にノミネートされ、クリスチャン・ベールが助演男優賞、メリッサ・レオが助演女優賞を獲得しています。
この「世界にひとつのプレイブックは、ラッセル監督の息子が特殊寄宿学校に通っていた経験が躁鬱病の主人公のヒントになっています。
主人公パット役はこの映画の製作総指揮にも名を連ねるブラッドリー・クーパーです。2018年、レディー・ガガの出演が話題の「アリー/スター誕生」で、主演兼初監督を務めています。
ブラッドリー・クーパーは、2009年「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」でブレイクし、「世界にひとつのプレイブック」「アメリカン・ハッスル」、「アメリカン・スナイパー」と3年連続でアカデミー賞にノミネートされています。
ヒロインのティファニー役は、この作品で第85回アカデミー賞主演女優賞を受賞したジェニファー・ローレンスです。ジェニファー・ローレンスは2008年「あの日、欲望の大地で」の出演で第65回ヴェネツィア国際映画祭新人俳優賞を受賞して名を広めました。2010年の映画「ウィンターズ・ボーン」でアカデミー主演女優賞にノミネートするなどたくさんの賞にノミネートされ若手に実力派として知られています。
パットの父親役は、ロバート・デ・ニーロ、母親役はオーストラリアの女優ジャッキー・ウィーヴァーでそれぞれ助演男優賞、助演女優賞にノミネートされています。
他、パットの兄ジェイク役シェー・ウィガム、パットが入院中に親しくなった友人ダニー役はクリス・タッカー、パットと元妻ニッキの共通の友人ロニー役はジョン・オーティス、ロニーの妻でティファニーの姉のヴェロニカ役はジュリア・スタイルズ、パットの主治医パテル医師はアヌパム・カーが演じています。
心に傷を抱えた男女が自分を取り戻すまでの話
この映画も大好きなブラッドリー・クーパーが出演している、ということで観ました。一度観ていたことを忘れて2回目を観たので、私には話自体にインパクトはなかったようです。でもこの作品は、映画批評家からは高評価だそうです。観る人が観ればわかる、といった映画なのかな、と思います。
キャラクターは個性的で、演じる俳優さんの演技もさすがだな、とは思いましたが、アメフトに対する感情が共感できず、そのあたりが理解できればもっと感動していたかもしれません。ちなみに原題「Silver Linings Playbook」のPlaybookはアメフトの教本、または脚本、筋書きを意味しているそうです。
もちろん私も楽しく観ましたが、くせの強い父親役が少なからずパットに悪い影響を与えているのでは?というところが引っかかってしまい、親子関係もひとつのテーマだったのでしょうが、ストーリーに集中できなかった面も多少ありました。
ブラッドリーが観たいだけだったのでそれだけで満足ですが、映画らしい映画というか、王道のストーリー展開で少し物足りない感じはありました。ところどころくすっと笑えるところもあり、最後はハッピーエンドだったので良かったな、という程度の感想です。
余談ですが、今回記事にまとめるまで、タイトルを勝手に「世界に一つのプレイバック」だと思っていて、当たらずも遠からずな、人生のやり直しの話かなと思いこんでいました。