クリミナル~2つの記憶を持つ男のあらすじ
ロンドン駐在のCIAエージェント、ビリーは大金とパスポートの入ったカバンをブティックで受け取り街へ出る。それをCIAのロンドン支部ではカメラで追いかける。一方スポーツカーに乗った不審な女もビルを追うが、女の存在に気づいたビルは、CIAの監視からも離れて移動する。
CIAがビリーを確認したときには、ビリーはカバンを持っておらず、ビリーを追跡するも今度は何者かに誘導されるようにCIAは撒かれてしまう。そしてビリーは追ってきた女とその仲間に囚われる。そこには女たちのボスらしき人物がいて「ダッチマン」という人物の居場所を教えるよう言われ拷問を受けるが、ビリーは口を割らなかったために殺されてしまう。ビリーは米軍の核ミサイルをも遠隔操作が可能なプログラムを開発した謎のハッカー「ダッチマン」の居場所を知る唯一の人物だった。
ビリーの遺体を回収したCIAのロンドン支局長クウェイカーは、ビリーの記憶を入手したいと、動物の記憶情報の移動を研究している大学博士フランクスに依頼する。そのときフランクス医師の実験は人体で実験を行う許可を待っている段階でしたが、クウェイカーはダッチマンの脅威から世界の危機を救うためだと、強引に手術をさせる。
人体での移植手術の被験者として博士があらかじめ選んでいたのが、死刑囚のジェリコ・スチュワートだった。そしてビリーの記憶はジェリコの脳に移植されるが、ジェリコは失敗を装いクウェイカーの質問に答えない。手術は失敗だと判断したクウェイカーはジェリコは刑務所に送り返すことにする。ところが刑務所への輸送中に、ジェリコは護衛のエージェントを襲い、車から逃げ出す。そして街中で無銭飲食や自動車窃盗などを繰り返す。
逃亡し自由を満喫していたジェリコだったが、脳の中に植え付けられたビリーの記憶が断片的にあらわれ始め、記憶を頼りにビリーの家に向かう。ビリーの記憶を利用し家に入ったジェリコは、ビリーの妻、ジルをベットに拘束し、アクセサリーなどを奪う。しかし同時にビリーの記憶であるジルや娘のエマとの幸せな思い出が鮮明になり困惑する。
一方ジルがなんとか警報アラームを作動させたことで、CIAから家に確認の電話が入る。ところがジェリコにはビリーの記憶があったため、セキュリティーコードを伝え、CIAの同僚の名前を折り入れながら会話をする。しかしこのことでクウェイカーはジェリコの中でビリーの記憶が蘇っていることに気づく。
ジェリコはビリーの家を出て盗品を質屋で現金に変えようとする。しかし盗品の中のヘアブラシが娘のエマが大切にしていたものであることを思い出し、ブラシだけは金に変えることをやめる。そして食事をするために入ったカフェでは、対応した店員がフランス人だったので、自然と口からフランス語が出る。しかしフランス語が話せるはずがないジェリコは、自分はスペイン語を話していると言うが、それとは別に他人を思いやる行動をとってしまったりする自分に戸惑いを隠せない。
ジェリコはビリーの記憶でそのような行動をしてしまうのだと気づき、また頭痛もひどいので、脳の手術をしたフランクス医師のもとへ行く。しかしフランクス医師の居所を突き止めるためにパソコンでビリーのIDを使ったため、CIAに行動がバレ、フランクス医師とジェリコの会話は盗聴される。
フランクス医師はジェリコから身体能力や、感情まで得たことを聞き驚くも、それらの記憶は48時間前後で消えるだろうとジェリコにいう。ジェリコは記憶が無くなる前に、大金の入ったカバンのある場所を思い出そうと街をさまようが、クウェイカーがジェリコを捕まえる。CIAに捕まったジェリコはビリーの記憶にあるはずのダッチマンの居場所を教えるよう言われるが、協力する代わりに、ビリーがジルと行った海に連れて行くことを条件にする。
一方、ビリーを殺したハビエル・ハイムダールもジェリコとフランクス医師との会話を盗聴していた。実はハビエルは情報流通会社を所有し、無政府主義者で世界の現在の秩序を破壊したいと思っている人物だった。ハビエルもまたビリーの記憶を持つジェリコからダッチマンの居場所を聞き出したいのだった。
輸送中のジェリコをCIAから奪うために、ハビエルは空港にいる容姿がダッチマンに似た人物をモニターでダッチマンとして認識されるようにしCIAを翻弄する。騙されたCIAとクウェイカーは、ジェリコを少数の護衛にまかせ、その人物を確保するために空港へ向かってしまう。そのすきに、ハビエルはジェリコを拉致しようと仲間の女エルサを向かわせるが、ジェリコは車ごと川に突っ込み、その場から逃げ出す。
怪我を追ったジェリコは再びビルの家の地下に隠れ、ビリーが置いてあった道具で傷の手当をする。そのときエマと帰宅したジルは地下の異変を感じ、銃を持って様子を見にいきジェリコを見つける。ジェリコはこのとき、ジルに真実を告げた。ビリーの記憶を脳に移植されたという突拍子もない話をジルは信じることができないが、ジェリコは二人の過去の思い出話をする。
ジルは戸惑うが、ジェリコは傷の手当が終われば出ていくと安心させる。しかし庭にいたエマを見て、ジェリコはエマに近づき話しかける。ジェリコがエマと話しているのを見たジルは動揺しますが、エマがジェリコになついたことで、夕食を共にし、一晩泊まるようすすめる。
そのころ、いつまでたってもアメリカから保護してもらえず焦ったダッチマンは、ロシアに自身とプログラム、ワームホールを売り込む。そして動向を見守るアメリカに対して、ワームホールのデモンストレーションとして遠隔操作により潜水艦よりミサイルが発射し空中で自爆させる。
ビリーの家に泊まった翌日、ジェリコはジルが入れてくれたコーヒーのカップをふと見て、それがロンドン大学のもので、カバンを隠した場所が大学の中の鍵のかかった古書保管室だという記憶が蘇り、大学に向かう。保管室でカバンを見つけたジェリコだったが、そのとき、ハビエルとエルサがあらわる。ハビエルはジルとエマを人質にしていた。
一方、CIAにはロシアのエージェントがロンドンの波止場に現れたという情報が入り、クウェイカーは彼らがダッチマンをロシアに連れて行くためにロンドン入りしたことを察知し、追跡を開始し、大学に向かう。そして大学で、ダッチマンをめぐるCIAとロシアの銃撃戦となる。
エルサにダッチマンの確保をまかせ、ハビエルは自家用飛行機の待つ空港に移動。しかしジェリコが、化学薬品を使いの爆薬を作って、エルサを撒き、ジェリコは大学に一人で隠れていたダッチマンのもとへ行き、ダッチマンのワームホールにある仕掛けを付けさせる。そして逃走しようとしたとき、再びエルサが現れダッチマンを射殺する。ジェリコも打たれるが反撃しエルサを倒す。
ロシアとCIAの銃撃戦はCIA側が勝ち、大学には救急車やパトカーが集まり落ち着きはじめる。そのときジェリコは救急車を盗んでジルとエマの救出するために、ハビエルのいる空港へ行く。
どうにかジルとエマを救出するも、ワームホールはハビエルが奪い、飛行機で逃げられる。ハビエルは飛行機の中でワームホールを使って空港を攻撃しようとするが、ジェリコがダッチマンに指示していたワナが功を奏しハビエルが撃墜され事件は解決する。
ハリウッドを代表するスターたちの共演
ロンドンが舞台の「クリミナル 2人の記憶を持つ男」は、テロリストVSCIAと記憶を脳に移植された囚人との戦いを描いた2016年制作のアメリカ合衆国・イギリスの映画です。監督は、実在の殺し屋リチャード・ククリンスキーを描いた「THE ICEMAN 氷の処刑人」の監督、脚本をつとめたイスラエルの映画監督アリエル・ヴロメンです。
主演の死刑囚ジェリコを演じたのは、監督・製作・主演を務めた「ダンス・ウィズ・ウルブズ」でアカデミー作品賞とアカデミー監督賞を受賞しているケビン・コスナーです。「ボディガード」や「パーフェクトワールド」にも出演しているハリウッドのトップスターの一人です。
CIAのクウェイカー・ウェルズ役は「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」でアカデミー賞主演男優賞を受賞したゲイリー・オールドマンです。「裏切りのサーカス」でも主演をつとめ、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされています。
記憶を移植手術を成功させたフランクス医師役は、日本ではサントリーの缶コーヒーBOSSでお馴染みのトミー・リー・ジョーンズです。トミー・リー・ジョーンズも「逃亡者」でアカデミー助演男優賞を受賞しています。
キャストが豪華なだけじゃない
この映画はキャストが豪華すぎて、そんな作品にありがちな期待はずれに終わるかと思いましたが、最近暗めの映画を観ることが多かったので、久々に観終わったあと、スカッとして面白かったなぁという印象でした。
トミー・リー・ジョーンズ、ゲイリー・オールドマンは出演シーン多いですが、彼らでなければならなかった、というような役柄ではないかな、とも思いました。でもそんな脇役をスターの彼らが演じることで、単純なストーリーの映画がより良いものになったのかもしれません。ちょっとイライラした点をあげるとすれば、ゲイリー・オールドマン演じるCIAの支局長クウェイカー・ウェルズが、ダメダメなところ。CIAってそのレベルなの?という感じです。それだけテロリストが凄かったのかもしれませんが、ストーリー展開上、翻弄される必要があったということで、その変は考えずに観たほうがいいですね。
あとは、ケヴィン・コスナー演じるジェリコに記憶を移植されたCIAエージェント、ビリーの奥さん、ジルを演じるガル・ガドットという女優さんがとても綺麗な女性で印象的でした。元ミス・イスラエルということで納得。ついでにビリーはすぐに死んでしまいますが、そんなちょい役をライアン・レイノルズが演じているのもすごいですね。
また、普段観ている映画はアメリカが舞台の映画が多いせいか、ロンドンが舞台のこの映画の風景がとても新鮮で、そんなところも意外と楽しめました。
記憶を脳に移植するというSFチックで、ありがちなストーリーですが、ダイ・ハードのような昔のアクションサスペンス映画のように最後まで無難に楽しめました。変などんでん返しなどはなく、気軽に観れるので、暇つぶしや気分転換にぴったりです。