主役の二人の演技が最高!AAAの活動休止を発表した西島隆弘さん、今後の俳優活動も楽しみになる映画です。
映画『愛のむきだし』の感想
実話がベースなったという園子温監督の映画『愛のむきだし』を観ました。私はとくに知識はなくAAAの活動休止を聞いて西島隆弘さんの作品を観てみようかな、と何気なく観始めました。
が、途中で4時間あることにびっくり。休日で良かった。途中で中断できない人は夜寝る前に観るとかはやめといた方がいいです。
映画の冒頭では「この物語は事実にもとづいている」と出てくるのですが、園子温監督の友人が拝金主義の新興宗教から苦労して妹を脱会させた話なんだそうです。
園子温監督はこの映画を撮るために、実際に新興宗教に入信して内部をリサーチしたそうで、劇中の描写はほとんど実際に行われていることだとかで、聞いたことはあったけど怪しげな新興宗教の怖さを再認識しました。
と、同時にキリスト教の信者の方が観ると、私とは全然違う感想なのかなぁとか、ちょっと思いました。
私は映画に対するこだわりや知識、見識などはあまりないからか、映画自体は面白かったですが、ブラックユーモアや下ネタ、トリッキーな作品が苦手な方にはちょっと合わないかもです。
ただ、映画を観ると結構な確率で眠たくなる私には長さだけはちょっと辛かったです。
でも冒頭はブラックではありますが、笑えるところもあり特に気軽に観ることができたし、一応チャプターになっているので、少しずつ観ていくこともできます。
前半と後半でガラッと雰囲気がかわって、後半は現実に日本で過去に起こった宗教の事件なんかも思い出されたりして、そして満島ひかりさん、西島隆弘さんの圧巻の演技に引き込まれ、ちょっと涙も出たりしました。
お二人はこの映画で第83回キネマ旬報ベスト・テンで、西島隆弘さんが「新人男優賞」、満島ひかりさんが「助演女優賞」をそれぞれ受賞、毎日映画コンクールでも「スポニチグランプリ新人賞」をそれぞれ受賞されているそうです。
本当に受賞も納得で、お二人の演技は違和感を感じることなく、ストーリーを楽しむことができました。
頼りない父親役の渡部篤郎さんや、ぶっとんだ女性カオリ役の渡辺真起子さんもさすがベテランさんだなぁという落ち着いた演技で若い二人と対称的で良かったです。
作品も2008年の第9回東京フィルメックスで、観客の投票によって選出される「アニエスベー・アワード」やベルリン映画祭で「カリガリ賞」「国際批評家連盟賞」を受賞されているそうです。
他にもキネマ旬報ベスト・テン「日本映画ベスト・テン」第4位に入選、『映画芸術』誌上の批評家による2009年度「日本映画ベストテン」第1位に入選しています。
私も面白かったなぁという感想ですが、Amazonのレビューなどだと意外と評価は低く、好き嫌いが分かれるタイプの映画なんだと理解しました。
この映画に限らず、園子温監督の作品って衝撃的なものが多く、苦手な人は苦手なんだろうな、と。私も『冷たい熱帯魚』や『ヒミズ』はちょっと・・・。『愛の罪』は何度か観たけど。
そんな園子温監督は、多才な方で17歳で詩人デビュー、しかも最初は漫画家志望だったそうです。
街頭詩パフォーマンス「東京ガガガ」を主宰し、4000人のパフォーマーが渋谷のストリートで展開し話題となったり、 映画、『時効警察』や『みんな!エスパーだよ!』といったテレビドラマ、路上演劇、朗読、アートなど様々な活動をされているそうです。
1986年に8mm映画『俺は園子温だ!』が、ぴあフィルムフェスティバルで入選し、翌年8mm映画『男の花道』でグランプリを受賞、1993年には『部屋』でサンダンス映画祭審査員特別賞を受賞されています。
2001年には、衝撃的な内容で物議を醸した作品『自殺サークル』を公開しカナダファンタ映画祭(ファンタジア2003)にて、観客投票で第1位 となり“観客賞”を獲得と同時に“今年、最も優れた映画に贈る賞”も獲得されています。
2006年には、吹石一恵さん主演の映画『紀子の食卓』を公開。第40回カルロヴィヴァリ映画祭・コンペティション部門の“特別表彰賞”と、国際シネマクラブ連盟による“ドン・キホーテ賞”を受賞。
『紀子の食卓』は韓国で開催された第10回富川国際ファンタスティック映画祭コンペティション部門の観客賞と主演女優賞を受賞しています。
2008年に、今回ご紹介している『愛のむきだし』を公開。前述のとうり、この作品でも「アニエスベー・アワード」、ベルリン映画祭「カリガリ賞」「国際批評家連盟賞」を受賞。
2011年公開の『冷たい熱帯魚』も日本国内では様々な映画賞で監督賞などを受賞しています。さらに同年、水野美紀さんがヘアヌードになったことでも話題となった『恋の罪』も公開されています。
2012年、漫画家古谷実の同名漫画を映画化した『ヒミズ』が公開し、第68回ヴェネチア国際映画祭コンペティションに出品。
主演の染谷将太さん、二階堂ふみさんが「最優秀新人俳優賞(マルチェロ・マストロヤンニ賞)」を日本人で初めて受賞されています。
同年10月には、原発事故の悲惨な現実を描いた『希望の国』が公開され、第37回トロント国際映画祭にて「NETPAC アジア最優秀映画賞」を受賞。
2013年9月にはエンターテイメントに徹したアクション活劇『地獄でなぜ悪い』を公開。 第38回トロント国際映画祭でミッドナイト・マッドネス部門観客賞を受賞。
2015年5月、綾野剛さん主演で『新宿スワン』を公開。園子温監督作品最大のヒットを記録しています。
ちなみに綾野剛さんは『愛のむきだし』にもちょこっと出演しています。私はそのシーンで綾野剛さんを発見できてテンション上がりました!っていうくらい一瞬ですが。
同年年6月には、園子温監督が無名時代に書いた脚本を、25年の時を経て映画化したSFファンタジー『ラブ&ピース』を公開。
日本映画として初めて北京国際映画祭に出品。カナダ・モントリオールの第19回ファンタジア国際映画祭では観客賞を受賞しています。
同年7月、山田悠介さんの小説が原作の『リアル鬼ごっこ』を公開。第19回ファンタジア国際映画祭にて最優秀作品賞(シュバル・ノワール賞)、審査員特別賞、最優秀女優賞(トリンドル玲奈さん)を受賞した。
映画と原作は少し違うそうですが、スペインのシッチェス映画祭で「タイムマシーン賞」を受賞。スペイン・マラガ・ファンタスティック映画祭で最優秀作品賞と特殊効果賞を受賞、と他にもこれまでたくさんの作品が評価されています。
映画『愛のむきだし』は、園子温監督の小説も出ています。他にも『自殺サークル 完全版』『毛深い闇』『受け入れない』などの書籍も出版されています。
4時間もの映画の原作ってどんなだろうと気になります。
主演の二人の圧巻の演技が見ものです
ヨーコ役の満島ひかりさんは、女優としての転機となったのがこの映画『愛のむきだし』だそうです。
当時ほとんど無名ながら、演技が高く評価され、作品の話題性と相まって知名度が急上昇。確かに終盤の長いセリフを力強く叫ぶシーンなんて圧巻でした。
この作品で報知映画賞、ヨコハマ映画祭、毎日映画コンクールなど、その他多くの映画新人賞を受賞、キネマ旬報賞では助演女優賞を獲得。
Amazonでも映画自体の評価は微妙な人でも満島ひかりさんの演技は良かったとのレビューが目立ちました。
この作品のあと数々のドラマや映画など話題作に出演され、2010年、主演を務めた『川の底からこんにちは』でヨコハマ映画祭主演女優賞、エランドール賞新人賞を受賞。
映画『悪人』『一命』『北のカナリアたち』『駆込み女と駆出し男』で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞されています。
2013年には民放初主演の日本テレビ系ドラマ『Woman』でも多数の主演女優賞を受賞されています。
同じく主演の西島隆弘さんは、家庭環境が複雑で盗撮魔となってしまったユウ役の演技でキネマ旬報ベスト・テン「新人男優賞」、毎日映画コンクール「スポニチグランプリ新人賞」を受賞されています。
西島隆弘さんは先日活動休止を発表したパフォーマンスグループAAAのメインボーカルと、「Nissy」の名義でソロとしても活動されています。
2010年には出演映画『スープ・オペラ』では、報知映画賞助演男優賞にノミネートもしています。ちなみに『スープ・オペラ』は、3人の男女の共同生活をメインにした阿川佐和子さんの長編小説が原作の映画です。
そして謎の新興宗教団体「0(ゼロ)教会」のコイケ役で主役の二人の演技に引けを取らない演技だった安藤サクラさんもなかなか良かったです。
安藤サクラさんは、2007年に父親の奥田瑛二さんが監督を務める映画『風の外側』でデビューし、この作品で存在感を発揮し、朝ドラなど女優として活躍中。
2013年1月、映画『かぞくのくに』では、キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞、助演女優賞をなんとダブルで受賞。
2014年に公開され第88回アカデミー外国語映画賞の日本代表に選ばれた『百円の恋』で主演を務め、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。
2018年、リリー・フランキーさんとW主演した映画『万引き家族』が第71回カンヌ国際映画祭にてコンペティション部門で最高賞のパルムドールを受賞。
国内でも数々の主演女優賞を受賞し、第92回キネマ旬報ベスト・テンと第73回毎日映画コンクールではその年、別の映画に主演した夫の柄本佑さんとともに夫婦で主演賞を受賞されています。まさに芸能一家!
紹介した作品はAmazonプライムに会員は無料で観れるものが結構あるので、ぜひ♪私は今月中には『万引き家族』、『百円の恋』を観ようと思います。