「サンクタム」のあらすじ

冒険家のフランクは、17歳の息子ジョシュを含む探検隊を率い、南太平洋、パプアニューギニアにぽつりと浮かぶ島にある熱帯雨林の奥地にある地球上でもっとも巨大で美しく、もっとも近づきがたい地下洞窟の調査に挑む。

ジョシュは父フランクから言われていた持ち場を離れ、父の冒険に大金を寄付しているスポンサーのカールと、カールのガールフレンドで登山家のヴィクトリアを迎えに行き、洞窟までを案内していた。

一方、地上から2000メートル地下で前方基地を構えたフランクは、仲間のジュードとともに、洞窟内で人一人がやっと通れる狭い水路を発見し、これまでに見たこともない空間に辿り着く。そして、前方基地へ戻る途中、ジュードの酸素チューブが突然破裂し、ジュードがパニックに陥る。フランクは自分のマスクからジュードに酸素を吸わせるも、ジュードは溺死してしまう。

さらに、地上との交信が途絶え、不審に思ったフランクは、増水の状況に気づいて、仲間の2人を地上へ行かせた。実は地上では大型のサイクロンが上陸。天気予報をはるかに超えた勢いと速度で、既に暴風域に入っていた。

洞窟に戻っていたジョシュはジュードの死が父親のせいだと思い、父親に反発し探索仲間のルコと地上に向かう。ところがそのとき頭上から大岩が水の勢いに押され出口を塞いでしまう。その反動でジョシュとヴィクトリアが落下し、ルコは岩に叩き付けられ流されてしまった。

洞窟は水没し別の出口から脱出しなければいけない状況になり、フランクらが脱出の準備をしていたところ、ジョシュがルコを発見するも、ルコは瀕死の状態だった。フランクはルコの様子を見て治療はできないと判断し、非難するジョシュ、ヴィクトリアを厳しい口調で諭し、ルコを水の底に沈める。

こうして冒険家の父、冒険ばかりしている父親に嫌気が差しているジョシュ、独断的なフランクを信頼し理解者でもある探索家チームの一人クレイジーとカール、ヴィクトリアの5人で脱出のため「海へと続いているという道」を探して洞窟内を進んでいく。

洞窟内を進んで行く途中、死体が着ていたスーツを身に着けることを拒んだヴィクトリアは体温が低下していく。また過去に潜水病だったクレイジーは病気が再発するが、刻々と浸水の危険が迫っているため5人は先に進んでいく。

実体験に基づいたサバイバルアドベンチャームービー

製作総指揮のジェームズ・キャメロンが3Dで撮影することを約束に監督を依頼したのはアリスター・グリアソンです。アリスター・グリアソン監督は、劇場未公開ですが、第2次大戦での日本とオーストラリアとの戦いを描いたオーストラリア映画「男たちの戦場」の監督です。「男たちの戦場」もそうですが、「サンクタム」もジェームズ・キャメロンの仕事仲間で、この作品の原案、製作、脚本のアンドリュー・ワイトの実体験に基づいた映画です。

洞窟と言えば、2018年6月には、タイの少年達13人が閉じ込められた遭難事故が記憶に新しいですが、こちらは1988年のできごとです。プロデューサーであり著名な洞窟探検家でもあるアンドリュー・ワイトは、自ら隊を率いてオーストラリアのナラボー平原の地下深くに隠れる洞窟を探検。その最中に、嵐に襲われて洞窟の入口が崩れ落ち、15人が地下深くに閉じ込められた。救出作戦が展開され、映画とは違い、全員が奇跡的も生還したそうです。

ただし、事実にに基づいた映画ではありますが、アンドリュー・ワイトのインタビュー記事によると、再現ドラマではなく、「厳しい環境と極限状態に置かれた人間がどんな状態になるのか」という本質的な部分を取り上げた作品だそうです。

ベテラン冒険家の父親フランクを演じたのは「ムーランルージュ」「ヴァン・ヘルシング」などに出演のオーストラリア出身リチャード・ロクスバーグです。ジョシュ役は、「The Black Balloon」でベルリン国際映画祭のクリスタル・ベア賞を受賞し今後が期待されるオーストラリアの若手俳優リース・ウェイクフィールドです。

3Dで映像を楽しむのがおすすめです。

見どころはジェームズ・キャメロン自らが改良したフュージョン・カメラ・システムによる臨場感たっぷりの迫力の3D映像と実話に基づくスリルということでしたが、私は2Dで観たので、最初と最後の海の映像が綺麗だな~というくらいでした。3Dで観たらまた違った感想を持っただろうか、とも思いますが、脱出ものなのでストーリーだけでいうなら一度で十分かな、と。

極限状態に置かれた人間がどんな状態になるのか、というテーマだそうですが、サバイバルおきまりの人間ドラマで、いい人なのに早死にでかわいそうな人、自分勝手で理不尽にみんなの邪魔をし観ているものをイライラさせる人、最初は頼りないけど、厳しい環境で成長していく人・・・。この映画では厳しい父親と金持ちのカップルのキャラクターが極端で、観ていてちょっと鬱陶しさもあり、想像が付くストーリー展開ではありましたが、短めの映画なので最後まで観れました。

父親以外があまりにも冒険の経験がなく、そんな人間が洞窟の中で、極限状態だからということで、酸素ボンベを奪って逃げたりするだろうか、そもそもなんで危険な洞窟の冒険なんかへ子供を連れて行んだと、ところどころ共感できなかったけれど、もちろんそんな極限状態を体験したことはないし、平穏な日常であっても小心者な私にはわかるわけもないか。